『その扉をたたく音』瀬尾まいこ 感想|大人になるってなんだろう。
『その扉をたたく音』瀬尾まいこ
音楽を通して、人との出会いや別れに触れ、自分自身としっかり向き合おうとする物語。
ギターやサックス、ウクレレ、歌など、いろんなジャンルの音楽が出てきます。
『そして、バトンは渡された』は、本屋大賞を受賞していて、映画化もされていました。
私は小説が映像化されてしまうと、原作を読む気が削がれてしまうことも多いのですが、『その扉をたたく音』の作風がとても読みやすかったので、別作品にも手を出してみたくなった次第です・・・。

ギターやサックス、ウクレレ、歌など、いろんなジャンルの音楽が出てきます。
作中に出てくる楽曲も、「これ知ってる!」というのもあれば「聞いたことないから調べてみよう」と思えるものもありなかなか楽しい。
音楽との関わり方も登場人物によってさまざまで、音楽をやっていた私には、とても考えさせられるものがありました。
『その扉をたたく音』あらすじ
主人公は無職の青年・宮路。
30歳目前ながらもミュージシャンになる夢を捨てられず、親のスネをかじりながらフラフラとしている宮路は、ある日、老人ホームに余興で演奏するため訪れることになる。
老人ホームで働く介護士の渡部と出会い、彼の演奏に突き動かされた宮路は老人ホームに通い始め、入居者とも交流を深めていく。
さまざまな人との音楽を通じた交流で、人生に対する向き合い方を学んでいく。
印象的な対比
この作品では、さまざまな「対比」が描かれているのが印象的でした。無職と働く人。
若者と高齢者。
家族と他人。
金持ちと貧乏人。
穏やかさと激情。
たくさんの対比があるけれど、どれも共通する思いがあったり経験があったり。
たくさんの対比があるけれど、どれも共通する思いがあったり経験があったり。
人が感じる物事に、「立場」って関係ないのかなと感じました。
舞台が老人ホームということもあって、人生がテーマになっているお話で、いろんな人の生き方が垣間見えるのが面白かったです。
舞台が老人ホームということもあって、人生がテーマになっているお話で、いろんな人の生き方が垣間見えるのが面白かったです。
入居者さんごとにそれぞれの人生があって、スタッフにも人生があって。
この作品を読んでいると、多方面に目を向けるということが大事だということに、改めて気付かされました。
この作品を読んでいると、多方面に目を向けるということが大事だということに、改めて気付かされました。
自分や他人を内側から見ることと外側から見ること、どちらも常に行うのが大人になるということなのかもしれないですね。
この作品を読むのにおすすめなのは、何かしないといけないけれど何をすればわからない人や、なんとなく時間を過ごすのに後ろめたさを感じている人。
この作品を読むのにおすすめなのは、何かしないといけないけれど何をすればわからない人や、なんとなく時間を過ごすのに後ろめたさを感じている人。
この作品を読むと心が落ち着いたり、一歩踏み出したくなったりすると思います。
瀬尾まいこの他作品
『その扉をたたく音』で登場する渡部の中学生時代が読める作品があるそうです。
それが、『あと少し、もう少し』。
中学の駅伝が舞台のお話です。
『その扉をたたく音』では、宮路に比べると大人な印象のある渡部でしたが、『あと少し、もう少し』ではどのような少年だったのでしょうか。
気になるのでぜひ読んでみたいです。
また、著者の他の作品で、『そして、バトンは渡された』も気になっています。私は小説が映像化されてしまうと、原作を読む気が削がれてしまうことも多いのですが、『その扉をたたく音』の作風がとても読みやすかったので、別作品にも手を出してみたくなった次第です・・・。