『緋色の残響』長岡弘樹著 感想|トリックではなく犯人を追い詰めていく過程を楽しむ短編

個人的に、『緋色の研究』っぽさはあまり感じなかったですが、読みやすい作品だと思いました。
『緋色の残響』のあらすじ
『緋色の残響』の主人公は、刑事・羽角啓子とその娘・菜月。
刑事の啓子が関わった事件について、新聞記者を目指す中学生の菜月も一緒になって解決していくというお話。
全5話の短編になっていて、現場は学校やかつてのお稽古先など、羽角家の近くで起こった事件についてを追っていきます。
本作表題である『緋色の残響』は、菜月が幼い頃に通っていたピアノ教室で起こった事件のお話でした。
特に印象に残った話
短編集なので、結構サクッとライトに読むことができる作品ですが、特に印象に残ったのは5話の「無色のサファイア」。
中学生の純粋で実直な行動と、警察の情けなさ。
母と娘。
大人と子供。
このような対比がうまく表現されていて、面白いなと感じました。
大人になると、見切りをつけるのが早くなるというか、子供だから、納得できるまでやる続けることができることってあるよなぁ、なんて考えながら読むことができました。
あと、偶然が引き起こす冤罪って怖いな、と感じさせるお話でした。
トリックではなく犯人の心情を追う作品
これまで私が好んで読んできたミステリー作品は、トリックや犯人の狂気さを楽しむようなものが多かったです。
ですがこの『緋色の残響』では、犯人だとバレるまでの間にどのようなことを考えて行動していたのかについてを、興味深く楽しめる作品だと思います。
今作で出てくる犯人は、結構普通の人というか、リアルだなぁと感じる描写が多かったです。
犯人の気持ちの動きを一番感じたのは、3話の「緋色の残響」かなぁ。
あんまり書くと、ネタバレすぎるので説明が難しいのですが・・・。
普通の人にとっては何でもないことでも、後ろめたいことがある人には追い詰められているように感じることって、結構よくあることなのかな〜なんて感じました。
ミステリーあるある
ミステリー作品なので当たり前と言えばそうなのですが、主人公の周りで事件起きすぎじゃない?と思いました。笑
啓子は刑事だから事件はつきものでしょうけど、中学生の菜月の周りでも事件起きすぎでしょ!
これだけ中学生の頃に事件に遭遇していたら、それはそれは優秀な新聞記者に慣れると思います。
将来が楽しみすぎる。
すこし抜けているところはあるものの、しっかり者である菜月が、母の仕事を理解して支え合いながら生活している様子も伺えます。
親子の関係性も、良い意味であっさりしている。
中学生が事件に絡むと、読んでいる間にイラつくことや引っかかるようなこともあると思うんです。
子供の余計な行動とか、話を進める上で邪魔な要素とか。
そういうのが比較的少なくて、するする読めるのが良かったなと思います。
著者の代表作は『教場』
長岡弘樹といえば、『教場』シリーズが最も有名ではないでしょうか。
ドラマ化もされて、結構話題でしたよね。
実は私、勉強不足で長岡弘樹というお名前を存じ上げない状態で、『緋色の残響』を手に取りました。
本編を読み終わって、解説をパラパラめくってみたら、『教場』シリーズの著者でもあるということを知りました。
『教場』シリーズは読んだことがなく、テレビドラマでチラッとみた印象でしか分からないのですが、『緋色の残響』のようなちょっとライトな作品のイメージがあまりなかったので、驚きでした。
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ぜひ『緋色の残響』以外の作品も読んでみたいと思います。
短編集で読みやすい
本作は短編集なので、普段忙しくて読書の時間があまり取れない人でも、気軽に読み始めることができる作品だと思います。
いざ読書をしようと思っても、本が分厚かったり長編だったりすると、ハードルが高く感じますよね。
文章自体も読みやすく、1話はそれぞれ15~20分くらいあれば読み終えることができるくらいのボリュームなので、隙間時間におすすめです。
(個人差はあるでしょうが。)
気になった方はぜひ。

