『作曲という名の戦場』小野貴光 著|職業・作曲家のリアルを知る

今回紹介するのは、作曲家・小野貴光氏の『作曲という名の戦場』です。
本屋さんで平置きされていて、帯が気になったので手に取りました。
帯には、声優・内田雄馬氏の言葉で、「戦友の人生を辿る一冊です。」と書かれており、その下には「1位以外は、全員敗者」という、なかなかに厳しい世界なのだと感じさせるコピーが。
音楽の世界に憧れたことのある私には、かなり興味深い文言だったので、購入してみることにしました。
幼少期から作曲家になるまで
第1章、第2章は、幼少期の生活から、作曲を始め、作曲家として動き出すまでが描かれていました。
決して恵まれているとは言えない環境で育った著者が、どのようにして音楽に触れてきたのか、どのように周りの環境と折り合いをつけてきたのかが、生々しく綴られています。
そういう時代だったと言われればそうなんでしょうが、かなり過酷な幼少時代だったのだということが伺えました。
吹奏楽でトランペットと出会ったり、バンド活動でベースと出会ったりした学生時代も、決して良い環境ではなかったけれど、全てに意味があると感じさせる出来事がありました。
特に第2章で、著者が16歳で上京してきたところには驚きます。
私が16歳の頃なんて、そんな大きな夢を持って行動するなんてことは考えられませんでした。
のほほんと高校生活を送っていたことを思い出します。
会社員時代と作曲家としての再スタート
第3章、第4章では、作曲家で食っていけず一般企業に就職した会社員時代から、副業・作曲家を経て専業・作曲家になる過程が描かれています。
芸術系の仕事をしている人って、企業での社会人経験がない人の方が多い気がするのですが、著者はがっつり一般企業で10年働くことになります。
音楽の世界では、10年のブランクは致命的と言われるそうですが、むしろこの10年は強みになりそうだな、なんて、読んでいて感じました。
人生経験がいろいろあった方が、芸術家的には旨みが出ると言いますしね。
それにしても本書を読んでいると、人生がなかなかに濃くて、まだこの人20歳か!とかまだこの人30歳か!とか、いちいち驚きます。
他の人の60年が、著者の20年くらいに感じるくらい、密度の濃い人生を送っているなぁと。
ちなみに、作曲家という職業についての記述は第4章が一番多いです。
作曲家を目指している人は、第4章から読んでみるのもありかも?
印象的な”はじめに”
読んでいて一番インパクトが強かったのは、”はじめに”でした。
まだ本編を読む前なのに、作曲家のリアルをまざまざと突きつけられました。
孤独の中で作品を生み出す苦しさと、作った後もとめどなくやってくるトラブルと・・・。
常に締め切りに追われて、息を吐く暇ってあるのかなと思ってしまうくらい、大変な仕事なのだとわかります。
作曲家として食っていくことの凄さをひしひしと感じました。
作曲家を目指すなら
本書は作曲家に興味がある人は、ぜひ読んでみてほしいです。
結局、最後に成功できるのはどの業界でも行動し続けた人だけだな、と感じます。
どんなに苦しく厳しい環境の中でも、著者のように行動し続けられるか、自分に置き換えて想像しながら読んでみてほいしいです。
気になった方はぜひ。
