『11ミリのふたつ星~視能訓練士 野宮恭一~』砥上裕將著 感想|瞳はきらめく星のよう、見えることは素晴らしい

以前紹介した『7.5グラムの奇跡』の続編、『11ミリのふたつ星~視能訓練士 野宮恭一~』を読みました。


今回も自分にとって、"気づき"の多い作品だったので、紹介していきます。

『7.5グラムの奇跡』の記事はこちらから↓


主人公が働き始めてから1年たった今作

前作から1年ほど経過した世界を描かれている今作。

視能訓練士である主人公・野宮が、働き始めてから1年が経とうとしています。

不器用で失敗も多い野宮ですが、確実に成長している姿が見えるのが今作では印象的でした。

仕事中だけではなく、休日のふとした行動まで視能訓練士としての仕草が滲み出ていて、実直な人間なのだなぁと感じさせられます。

子供から教わる「世界はきらめいている」ということ

前作では、視覚を守ることの大切さを身にしみて実感しましたが、今作では、今見えているものの素晴らしさに気付かされました。

今作でキーパーソンの1人であった、4歳の灯ちゃん。

この子は斜視であることがわかり、「立体視」を守るために訓練を受けることが急務であるという女の子です。

野宮は灯ちゃんの未来を守るためにも必死に訓練を受けさせようとしますが、4歳の子供にはなかなかしんどいものらしく・・・。

今まで普通の見え方でなかった人が、きちんとものを捉えられるように訓練するのは、大人でも投げ出してしまうくらい大変なものなんだとか。

野宮の頑張る姿が、周りの人にも伝染して、いろんな人の力を借りながら解決に向かっていく様子が素敵でした。

灯ちゃんも協力してくれる人のことをちゃんとわかっていて、その人たちのために訓練を一生懸命受けるようになっていく姿も考え深かったです。

訓練のおかげで、見えている世界が変化していく灯ちゃんの様子が、結構胸に響きました。

小学1年生の渉くんも、大事な登場人物でした。

この子は先天性の眼疾患を患っていて、少しずつ視野が欠損していく難病です。

人より見えるものが少ないけれど、自身も周りの人も工夫して、楽しく前向きに生活していく様子に勇気をもらえる感覚がありました。

人の縁が広がっていく

今作では、人の縁が繋がっていく様子も魅力的でした。

職場の同僚や、行きつけの喫茶店のマスターなど、前作から引き続き登場してくる人物の様子はもちろんのこと、新しい登場人物の輪の広がりが描かれています。

前作で患者として登場していた営業マンの門村さんは、なんと脱サラして喫茶店のスタッフになていました!

前作では、ちょっと思うところがある感じの門村さんでしたが、今作では割と人の架け橋のような存在にもなっていて。

周りを取り巻く人の影響かなぁなんて思いながら読んでいました。

野宮の勤務先である眼科を中心に、人との縁が広がっている感じが素敵でした。

見えていても見えていなくても、みんなで支え合って生きている感じが良いなぁと。

野宮の同僚の恋愛事情も垣間見えて、面白かったです。

前作同様に、人間模様の描き方が丁寧で、とても素敵な作家さんだなぁと思いながら読みました。

ボリュームはあるけど丁寧に読みたい

今作は、結構ボリュームがあるかなと感じました。

362ページあって、文字も結構小さめかなと思ったのですが、一度も休憩を挟まずに読んでしまいました。

ところどころ専門的な説明の文章もあるのですが、それですら一文字も読み落としたくないくらい、丁寧に丁寧に文字を追っていました。

主人公・野宮が人に対して、仕事に対して実直だからこそ、読み手も丁寧に読みたくなるのかもしれません。

読了後に眼科予約しました。

読み終えた後、眼科予約したくなって、しました。笑

自分が今見えている状態を守りたくなりました。

最近夜の運転で見えづらさを感じていたので、良い機会だと思ってメガネの処方箋をもらいに行こうと思います。

あと、スマホとかデジタル機器の見過ぎはやめようと。

この作品を読んでいると、目って本当に夜空の星みたいに綺麗なものなんだな、大切にしないとな、と感じさせられます。

気になった方はぜひ。



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